純恋〜ひとつの光〜
「再会したアイツはお前を何よりも大事にしていた。別れて妊娠が分かり一人で育てていたんだ、ひっそりと。嬉しかった。愛する女との間に子供がいる事が。でも痩せ細って明らかに様子がおかしかった」

俺は黙って話を聞く。

というか、言葉も出てこない。

「末期の癌に侵されてたんだ」

え…?

俺は目を大きく開ける。

「それでもう自分にはお前を育てる事が出来ないからと。俺に連絡してきたんだ。その時すでに余命宣告を受けていた」

親父は片手で目頭を押さえる。

「まさか…」

「ああ。俺はお前を引き取り、アイツは一年も経たないうちにこの世を去ったよ」

そんな…

親父は今も昔も俺の母親を想っているかのように、寂しそうに、それでいて悔しそうな表情を見せる。

まさか死んでいたなんて…

「再会した時、俺の親父に後継をとしつこく言われててな。それで仕方なく一度関係を持って、本妻だったあの女は尊を妊娠した」

タイミングが…

俺は眉間に皺を刻む。
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