純恋〜ひとつの光〜
周りの視線が痛いくらいにこちらに向けられ私は俯き下を向いてしまう。

「前向いて歩かないと」

彼は低い声なのに優しい。

「こんなおばさん、ほっといてください」

「はは、またそんな事言って」

「もっと離れて」

私はもう接客中じゃないのをいい事にズカズカとものを言う。

「なんだよ、つれないなぁ」

そんな事言ってさっぱり離れようとしない彼。

「もういいよね、敬語もなくて」

「ええ。全然構いませんよ?」

彼はポケットに手を入れて私の隣をゆっくりと歩く。

この時気づいた。

私に歩幅を合わせてくれている事に。

そんな些細な事で何故だか心が和む。

「私今年で29なの」

「そうですか」

「耀くんは、暇なの?」

「はは、暇そうですか?」

「だってこんなおばさん相手に、送るだなんて」

「好きな女性を送るのは普通でしょ?」

私は目を見開く。
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