純恋〜ひとつの光〜
これまでは遠くから見守ることしか出来なかったから。

でもあの男が働きに出て、外で女を作り彼女が汗水流して稼いだ金で遊ぶ姿を見て、我慢出来なくなった。

♦︎♦︎♦︎

「太一さん、いい加減お家に連れてって下さいよぉ」

女は男の腕に絡まり猫撫で声を出す。

「沙奈。俺の家はちょっと…ボロいし」

「そんなの気にしませんからぁ」

「んじゃ、ちょっとな? 家族が留守にしてる時にな」

そう言って夜道でキスをする二人。

俺が見てるとも知らずに。

散々、青葉さんを独り占めして閉じ込めているくせに、自分は外でのうのうと。

そして後日、あの男に付けていた部下から連絡が入った。

男が家に女を連れて帰ったと。

もうゲームオーバーだ。

青葉さんには悪いが、現場を見せるのが一番だろう。

そしてその日俺は青葉さんが働くスナックに顔を出した。

でも結局青葉さんを見たら何故だか連れ出す言葉が出てこなくて俺は直ぐに店を出た。

どうしたもんかと少しの間外にいれば、偶然にも青葉さんは早く出てきた。

この時俺は、そういう運命なのだと思った。

俺がどうこうせずとも、彼女はこれからあの男が何をしているのか目の当たりにする運命だったんだと。
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