純恋〜ひとつの光〜
そして手を離せば俺の手をガッと掴む。

ん?

「これ、どうしたの!?」

「ああ。ちょっと…」

「殴ったの?」

彼女の大きな瞳が揺れる。

「サンドバッグをね。トレーニングしてて」

まぁ、嘘じゃない。

あの男を考えながら殴っていたとは言わなくていいだろう。

怖がらせたくない。

「トレーニング…」

「そ。トレーニング」

こんなんで心配しちゃうのか。
気をつけないとな。

「そろそろ寝なくて大丈夫?」

「あ…うん。でも…」

なんだか帰って欲しくなさそうな感じが伝わってきて嬉しくなる。

「大丈夫。待ってるからシャワー浴びておいで」

「…うん。ありがとう」

そして彼女が俺から離れて風呂場へと向かうのを見て俺は息を大きく吐く。

はぁ。
抱きてぇ。

まさか彼女にキスをされるなんて思ってもいなかった。
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