純恋〜ひとつの光〜
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あの頃を思い出し脇腹に入れたガーベラが疼く。

やっと煩わしかった母親は弟を連れて家を出て行ったというのに。

軽く話を聞いた所では、あの女は他所に男を作っていて、組の金を散財していたのが親父に見つかってあっけなくおさらばとなった。

あの女がしそうな事だ。

所詮金に目が眩んだホスト狂いめ。

それでも俺はやっぱりあの家にいい思い出はなく今も仕事以外では帰りたくない。

そんなこんなで、大人になって彼女を見つけ出した頃には既に結婚していて俺は愕然とした。

しかも調べればずいぶん貧しい暮らしをしていて…

俺にはあの時前を向けと励まされた事が、何よりも嬉しくて、いつかまた会える日が来ると信じてやって来たのに。

幸せそうなら俺も諦めがついたかもしれない。

でも彼女を遠くから見るたびに、やつれて、笑顔もなく、とても幸せな結婚生活をしているようには見えなかった。





はぁ…。

「全く俺の事なんて覚えちゃいねぇ…」

当たり前か。
あの時は本当にガキだったしな。

俺だって大人になった彼女を見て、あまりに変わり果てていて驚いたし。

本当は明るい性格なのに。

すっかり元の自分を忘れてしまっている。

それだけ辛い思いをしたんだろうな。

そして青葉さんがシャワーを浴びてホクホクさせて戻って来た。

色気がヤバいな。
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