次期社長の執着愛。 〜御曹司だと知らずに逃げた苦労人女子なのに、社長になって、全力情愛で追いかけてくる。〜
「もしかしたら、このままでいいのかもしれないって思ったの……でも、楽しいって思えば思うほど、罪悪感も増して幸せを感じれば感じるほど何かに責められている気がしてた。痛いわけないのにお腹の痛みとかが襲ってきて、なのに私は……父にやめてほしいとかやめたいって言わなかった。この状況を変えなきゃいけない、だけど、母が亡くなって父が今にも死んでしまいそうな表情をしていたことを知ってるから」
「そうだったんだ、話してくれてありがとう……聖菜」
「こちらこそ重くなってごめんね、あっ……私、お手洗い行ってくるね」
なんだかみんなの顔が見れなくて、一人立ち上がりお手洗いに向かった。
お手洗いに入り鍵を掛ける。ドアにもたれ掛かるとズルズルと座り込む。
「もうやだなぁ……これで、もう、終わった。終わっちゃった」
そう呟くが、なぜか涙は出なかった。何度か深呼吸をすると立ち上がり手洗室を出た。