次期社長の執着愛。 〜御曹司だと知らずに逃げた苦労人女子なのに、社長になって、全力情愛で追いかけてくる。〜
「はい、ストーップ! ストップして、桜志。それぐらいにしないと桜志がやばいことがバレてしまうよ。それに、榛名さん泣きそうだから」
「あぁ、すまない。どのような人なのかと聞かれたから本当のこと言ってしまった」
「いや、逆効果……」
理人が何か言っているけど、それに対して言う事ない。もう二度と会うことのない女性を泣かせたところで何か起きるわけじゃない。
「……貴方様の言い分はわかりました。その方とは勝負にもならないことも。あなたとの結婚はお断りしますが私には条件があります」
「はぁ、なんでしょう」
「そんなに気持ちわる……いや、とても愛されている女性がいるなら早く仲直りをして告白したらどうでしょうか。そして彼女と幸せになってください」
「……そうですね、私も仲直りというか謝りに行きたいです。ありがとうございます」
「いえ。私も、私だけを愛してくれる王子様が現れるのを待ちたいと思いますので。では、失礼します。ごきげんよう」
そんなことを言って部屋から出て行った彼女を本部長が追いかけていき、この部屋は静かになる。
「桜志、この仕事は俺もできるものだしちゃんと終わらせておくから早く行け。会議までは戻れよ。あんな年下の子に言われたんだから早く謝って、プロポーズして来い」
確かにそうだ。
それにそれが条件だと言われてしまったし、このまま会えなくなるのは避けたいと思う……もう、腹括って行くしかない。
「会議までは戻るから、留守を頼む」
「はいよ、当たって砕けて来い」
「砕けたくはないが、行ってきます」
そう言って立ち上がると、俺は一度住んでいるマンションに戻り東京駅に向かった。