コドカレ。


駅東にある塾までチャリで5分。
帰りは10時過ぎるけど、別に車で送り迎えして貰う程距離が遠い訳じゃない。


「ヤマト!おせーよ、お前!」

教室に入るとやけにテンションの高いヒロキの姿が近付いてくる。
塾に通っているといっても学校の友達も多くて。親泣かせなんだろうが、勉強をするというよりは学校の延長って感じだ。

そして、ヒロキはそのまま俺の肩に手を回し、


「俺、サツキと寄り戻ったんだ!」

花のある報告をしてくる。


「……良かったな」

なんだかんだで、ヒロキと彼女はいつも喧嘩しては仲直りの繰り返しで、今更って感じなんだけど。

でもこんな喜んでんだから、ヒロキ彼女の事本気で好きなんだろうなと思う。
そんなヒロキを感心したように、じっと見ていると


「あんま見つめんなよ、照れるから!」

とんだ勘違いの言葉が返ってくる。


「見つめてねーし、気持ちわりー……」

「ヤマトさー、あれから本当に変だぞ。なんかテンションも低いしさー」

「……」

「まだあの女子高生の事で悩んでんのか?」

「……」

「俺が女心教えてやっから何でも相談してみろって!」

この間まで悩んでたくせに、この上から目線の言葉に苛ついて


「おっぱい見せて貰った事、向井に言ってやる!」

そう小さく呟けば、


「ふざけんな!やっと戻ったのに」

ヒロキの焦りと青ざめの混じった叫びが、教室に響いた。




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