コドカレ。
「まだ母ちゃん帰ってきてねーや」
ヤマトの家は公園から本当にすぐ着いた。団地の中にある、ごく一般的な2階立の一戸建て。
しかも驚いた事に、ヤマトの家は私の中学の学区内にあって、私とヤマトの家は思っていた以上に近い。
でも、家なんかにお邪魔して大丈夫なのか。
ヤマトのお母さんが帰って来た時、5つも年上の女子高生なんかがいたから不信がるだろう、普通。ヤマトは何て説明するつもりなのか。
「お、おじゃまします……」
私は戸惑いながらも靴を脱いだ。
「部屋。2階の奥だから」
そう言ってタオルを差し出される。先に部屋に行けという意味なんだろうけど。
戸惑いながらも階段を上がり、ヤマトの部屋に入る。
6畳位の部屋は生活感が溢れていて、ベッドには朝まで寝てたであろう跡が残っている。勉強机の上にはノートや教科書、漫画が散乱していて、部屋の中にあるテレビにはゲーム機が繋がっている。
テレビまであるなんて、なんて贅沢な。
部屋の観察をしていると、ヤマトが2階へと上がってくる。
「はい」
そう言って手渡されたのは、缶のままのオレンジジュース。
「ありがと」
私はヤマトのベッドに腰掛ける。カーテン越しに窓の外を見ると、まだ雨が降っている。
「通り雨かな」
なんて言って、ヤマトは濡れた髪の毛をゴシゴシと拭きながら、私の隣りに腰掛けた。