コドカレ。


その仕草にふと昔の記憶が蘇る。


"雨やまないな"

"寒くない?"

"アヤの事好きだよ"

偽りの言葉に騙されて。
それでも、信じて疑わない真っ白な心。


ゆっくりとヤマトに近付いて。唇が触れるか触れない位で、コツンとオデコをくっつけて視線を絡めると


「ど、どーした?」

真っ赤になって戸惑うヤマトの姿が視界に入る。


「頭……撫でて」

そう言って、頭をヤマトの小さな肩に乗せた。


「……」

「……」

「……」

「やっぱいい!今の忘れて!!」

人に……こんな小さなヤマトに弱音を吐いてしまったようで急に恥ずかしくなって、そう口にすると


「頭撫でればいいの?」

やけに冷静なヤマトがいた。


「いいってば!!」

焦っているのは私だけで、慌ててヤマトから身体を離そうとすると。
小さなヤマトの両手が私の背中に回り、身体を包み込む。
そして、ゆっくりと私の頭を撫ではじめる。


震える手で、優しく――、

大切に――。


そんな価値、私になんて無いのに。



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