コドカレ。
「私知ってるんだから……」
と、兄ちゃんと母ちゃんの会話に割って入ったのは、アヤさんだった。
冷たい、怒りを表す目で。
「な、何を?」
母ちゃんとアヤさんに捕らえられた兄ちゃんは、まるで小動物そのもの。
「かけてたんでしょ?」
「ば、ばか、それは……」
アヤさんは兄ちゃんに牙を向ける。それはもう胸ぐらを掴む勢いで
「私とヤレるか!!!」
そう声を張り上げた。
食卓が一気に凍りつく瞬間だった。
もうそれからは最悪だった。
母ちゃんの目はこれでもかって程見開き。鬼と化した。
「タイガ!!あなた女の子をかけたの?」
「そ、それは本当か?」
今までで黙っていた父ちゃんまでもが参戦し。
「違っ、なんだよそれ……アヤ?」
「違くないでしょ?」
「確かに付き合ってたけど、かけてねーよ!」
「疚しい事があったから、付き合ってたとか言えなかったんでしょ?」
「マジ勘弁しろよ……」
アヤさんの叫びに、兄ちゃんは右手を顔面に置いて項垂れる。
俺はそんなやり取りを、ただ唖然と見ている事しか出来なかった。