『俺を好きになるな』って言ったのに、幼馴染(転生姫)がフラグを折らせてくれません
第四章「君に触れたら、全部壊れてしまいそうで…」
〇学校・昇降口・放課後
放課後の昇降口。
雫は一人、靴を履き替えていた。
校舎の外では部活帰りの生徒たちの声が響いているが、
そこに混じって、どこか自分だけが置き去りにされたような感覚を覚えていた。
背後から視線を感じ、振り返ると、やはり透真がいた。
柱にもたれ、静かに雫を見つめている。
透真「今日は俺と一緒にかえんないの?」
雫「あ、ごめん。ちょっと寄りたいところがあるんだ」
透真「……どこ?」
雫「図書館」
透真は目を伏せ、ほんの少しだけため息をつく。
透真「また『あの本』か」
雫「え……」
透真「昨日も、今日も……お前、最近あれに執着しすぎだ」
透真の声は静かだけれど、微かに苛立ちが混じっている。
雫は戸惑いながらも、小さく首をかしげる。
雫「透真が、そんな言い方するなんて珍しいね」
透真「お前には悪いけど、あの本のこと、気にしすぎるなってだけ」
雫「でも……」
雫が何かを言おうとすると、透真が彼女の腕を軽く掴む。
その手は優しいけれど、どこか緊張している。
透真「雫……お前は今のままでいい。俺と一緒にいれば、それでいいだろ?」
雫の胸が、なぜか強く脈打つ。
透真の瞳が真っ直ぐに自分だけを見つめているのが、苦しいほどに嬉しくて、怖い。
雫「透真……どうしてそんなふうに言うの?」
透真「お前は、普通のままでいてくれ。頼む」
透真は彼女の腕から手を離す。
ふっと目を伏せ、まるで何かを押し殺すような微笑みを浮かべる。
〇図書館・歴史資料室
雫は資料室の奥、薄暗い書架の間を歩いていた。
まるで何かに導かれるように、昨日の本を再び探し出す。
そして、開いたページには、昨日はなかった挿絵が浮かんでいた。
金糸の刺繍が施された豪奢な衣装、紅玉の飾り、そして振り返る少年の瞳。
雫M「……この服、知ってる。あの瞳も……どうして、こんなに懐かしいの?」
雫がページに指を滑らせた瞬間、また頭に激しい痛みが走る。
〇回想・異世界・王宮の庭園
朧げな光景が視界を覆う。
紅い花びらが舞う中、石畳の庭園で、一人の少年が彼女に向かって手を差し伸べていた。
黎天「玲蘭……俺のそばにいろ」
その顔は、透真だった。
〇現実・図書館
目を見開いた雫が息を呑む。
現実に戻った瞬間、目の前には透真がいた。
驚くほど近くにいて、彼女の手をぎゅっと握っていた。
透真「大丈夫か? 急に顔色が悪くなったから……」
雫「い、いつからそこに……」
透真「ずっと」
透真は真剣な眼差しで彼女を見つめる。
そして、ふと目を伏せると、静かに呟いた。
透真「……お前に触れると、全部壊れそうで怖いんだ」
雫「え……?」
透真「いや、何でもない」
その一言が、雫の胸を深く締め付ける。な
ぜか、触れられた手のぬくもりが離れない。
放課後の昇降口。
雫は一人、靴を履き替えていた。
校舎の外では部活帰りの生徒たちの声が響いているが、
そこに混じって、どこか自分だけが置き去りにされたような感覚を覚えていた。
背後から視線を感じ、振り返ると、やはり透真がいた。
柱にもたれ、静かに雫を見つめている。
透真「今日は俺と一緒にかえんないの?」
雫「あ、ごめん。ちょっと寄りたいところがあるんだ」
透真「……どこ?」
雫「図書館」
透真は目を伏せ、ほんの少しだけため息をつく。
透真「また『あの本』か」
雫「え……」
透真「昨日も、今日も……お前、最近あれに執着しすぎだ」
透真の声は静かだけれど、微かに苛立ちが混じっている。
雫は戸惑いながらも、小さく首をかしげる。
雫「透真が、そんな言い方するなんて珍しいね」
透真「お前には悪いけど、あの本のこと、気にしすぎるなってだけ」
雫「でも……」
雫が何かを言おうとすると、透真が彼女の腕を軽く掴む。
その手は優しいけれど、どこか緊張している。
透真「雫……お前は今のままでいい。俺と一緒にいれば、それでいいだろ?」
雫の胸が、なぜか強く脈打つ。
透真の瞳が真っ直ぐに自分だけを見つめているのが、苦しいほどに嬉しくて、怖い。
雫「透真……どうしてそんなふうに言うの?」
透真「お前は、普通のままでいてくれ。頼む」
透真は彼女の腕から手を離す。
ふっと目を伏せ、まるで何かを押し殺すような微笑みを浮かべる。
〇図書館・歴史資料室
雫は資料室の奥、薄暗い書架の間を歩いていた。
まるで何かに導かれるように、昨日の本を再び探し出す。
そして、開いたページには、昨日はなかった挿絵が浮かんでいた。
金糸の刺繍が施された豪奢な衣装、紅玉の飾り、そして振り返る少年の瞳。
雫M「……この服、知ってる。あの瞳も……どうして、こんなに懐かしいの?」
雫がページに指を滑らせた瞬間、また頭に激しい痛みが走る。
〇回想・異世界・王宮の庭園
朧げな光景が視界を覆う。
紅い花びらが舞う中、石畳の庭園で、一人の少年が彼女に向かって手を差し伸べていた。
黎天「玲蘭……俺のそばにいろ」
その顔は、透真だった。
〇現実・図書館
目を見開いた雫が息を呑む。
現実に戻った瞬間、目の前には透真がいた。
驚くほど近くにいて、彼女の手をぎゅっと握っていた。
透真「大丈夫か? 急に顔色が悪くなったから……」
雫「い、いつからそこに……」
透真「ずっと」
透真は真剣な眼差しで彼女を見つめる。
そして、ふと目を伏せると、静かに呟いた。
透真「……お前に触れると、全部壊れそうで怖いんだ」
雫「え……?」
透真「いや、何でもない」
その一言が、雫の胸を深く締め付ける。な
ぜか、触れられた手のぬくもりが離れない。