天使の階段
週末。

私は例のバイトに来ていた。

「今日は楽しかったよ、紗香ちゃん。」

今日の男の人は、20歳の人。

有名な私立大に通っていると言っていた。


「ねえ、ホントにダメなの?」

若いせいか、話をするだけでは足りなさそうだ。

「ごめんなさい…」

私がそう答えると、途端に不機嫌な態度に出た。

「話するだけで1万って、いい根性してるよな。」

こういう系の人はヤバいって、柊子が言ってた。


「ほら、最初から体の関係になるのは、いかにも!って感じでしょ?」

私は笑顔で答えた。

「……分かったよ。」

その人が財布から1万を出して、私に差し出した。

「ありがと。」

その瞬間、車のシートが倒される。

「ちょっと!」

「少しくらいいいだろ!」

「やめて!」

私は足で相手を蹴ると、なりふり構わずに外に出た。

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