天使の階段
今日は日曜日。

柊子と街に出かけた。


「紗香、その服かわいい!」

柊子が私の袖を引っ張った。

「そう?バイト代で買ったんだ。」

「うんうん。似合う似合う!」

話をするだけで、1万円貰えるという浅はかなアルバイトをしているせいか、男の人から貰ったお金は、ほとんどが洋服代か、外食代に消えてきた。

柊子と街の中を歩いていると、ある店のショーウィンドウに、目が止まった。

有名なスポーツメーカーのシューズ。

”より早く走る”為には、個人の努力が必要だけど、頼りになる”道具”も不可欠だ。

「ああ…このシューズ?」

一緒に長距離を走る柊子は、こういうところも解ってくれる。

「最新の型でしょ?いいよ、このシューズは。踵の部分は柔らかいし、脇もしっかりしてるから、いくら走っても安定するし。」

「……柊子、持ってるの?」
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