天使の階段
「持ってるよ。ただ高いから、大会前後の時しか履かないけど。」

私のは、高校に入学する時に買ってもらったモノで、毎日の練習でボロボロだ。

【29,800円】

私はぎゅうっと、手を握り締めた。


その時、カランカランと音が鳴り響いた。

「ありがとうございました。」

お店の人に、丁寧に頭を下げられて、中から出てきたのは、あの統吾君だった。

「あれ?岩崎と松川?」

統吾君は、すぐに私達に気付いた。

「大宮君!こんなところで会うなんて、偶然だね。」

そんな事を言いながら、柊子は私の体を肘で突く。

「買い物?」

私は統吾君の手にある、袋を指差した。

「うん……実は二人を見習って、走り始めようかなあって思って。」

「へえ~いいじゃない!」
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