天使の階段
柊子は興奮気味だ。

「まずは形から入ろうと思って、買っちゃったよ。」

統吾君が袋の中を見せてくれた。


私はそれを見て、固まった。

あのシューズだったからだ。

「あ……さすが大宮君。いい物選んだね。」

柊子は私に気を使いながら、そう一言。

「行こう、柊子。」

私は、一時でも早くその場を、離れたかった。

「あっ、待ってよ。紗香!」

柊子は統吾君に挨拶しながら、こっちに走ってきた。


私が走る為に必要な物を、統吾君は趣味で買える。

自分が酷く惨めに思えた。
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