天使の階段
その一方で、毎日毎日繰り返される、部活のハードな練習。

走り終わって足元を見ると、その度にショーウィンドウに飾ってあったシューズと、今履いているシューズを比べてしまう。

私は頭を振ると、タオルを置いてある場所に移動した。


その近くでは、女子と男子のマネージャー同士が、こそこそと話をしていた。

「なあ。今度の大会、誰が出ると思う?」

「意外に松川とか選ばれるかもよ?」

「松川?岩崎じゃなくて?」

「ああ。確かに岩崎も速いけど、ムラがあるし……その点松川は、いつ走っても安定している。」

私はその言葉に、全身が重くなった気がした。


柊子の方が信頼されている。

安定……

あんてい……

アンテイ……

やけにその言葉だけが、頭の中で繰り返された。
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