天使の階段
ジロッと私を見ているその人。

制服を上から下へ舐めまわすように、見ている。

たまらなくなって、走って店の外に出た。


ドラッグストアを出た場所で、嫌な程に大勢の人からの視線を感じた。

怖い。

妊娠していたら、どうしよう。

もう走れない。

大会にも出れない。


お腹が膨らむって、どんな風なの?

産むって、痛いの?

産んだら?

その赤ちゃんは、どうすればいいの?


それよりも、お父さんとお母さんに、怒られる。


いろんな不安が混ざりあって、身体が震えてきた。

もう生理が来なくなって、3ヶ月過ぎている。

早く妊娠しているか、確かめなきゃいけないのに、それを確かめる事もできない。


私は声を殺しながら、家路につくしかなかった。
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