天使の階段
「何かあった?」

「ううん。」

慌てて否定する。

「ただ、最近連絡取れなくて……」

この嘘も、柊子に通じてほしい。

「う~ん。私も教えたいのは、山々なんだけどね。」

「えっ?」

嫌な予感がした。

「実は連絡先、変わってるみたいなんだよ。前の番号に架けても、『現在使われておりません。』になるし。」


目の前が暗くなった。

タカさんに、連絡が取れない?


「なに?そんなに、タカさんに会いたいの?」

「……会いたいって言うか、話がしたくて。」

「望みは薄いかもよ?あの人、相当遊んでるみたいだから。連絡先変えたのも、新しいカモを見つけたからでしょ。」

カモ……

こんなに私は、悩んでいるって言うのに。


「私達も、新しい金づる見つけなきゃね。」

「止めてよ、そう言う事!!」

思わず叫んでしまった。

「ごめん。」

「いいけど?ただ、本気になっちゃって、どうしたの?ただのバイトに。」

柊子はため息混じりに、そう言った。
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