天使の階段
「うん。上出来だ。」

上出来?

それは木下さんの腕に対して言ってるのに、まるで自分に言われたかのように、私は舞い上がっていた。


「いってみようか。」

髪の長い人の掛け声で、カメラマン、照明、そして木下さんも動く。

私はゆっくり、カメラの前に立った。

「緊張しないでいいからね。」

カメラを構えた人にそう言われたけど、余計に緊張してくる。

「始めるよ。」

その合図と共に、シャッターを切る音が、たくさん鳴る。

「はい。次は少し動いてみようか。」

「は、はい……」

動いてって言われても、どの程度動いていいかも分からず、ほとんど同じポーズを繰り返した。


「今日は、このへんにしようか。」

カメラマンの一言で、私の緊張は、解き放たれた。

終わった……

そう思った時だった。
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