天使の階段
次の日曜日、私の家に遊びに来た郁は、見覚えのある服を着ていた。

「郁……それ……」

「分かった?最新号で寧々が着てたものだよ。」

郁は私の前で、軽くターンを決める。


「いつ買ったの?」

「う~ん……この前、遊びに来た次の日かな。」

郁はバッグから、あの雑誌を取り出した。

付箋が何か所かに、付けられている。

「それ、何?」

「ああ!寧々が出てるページだよ。」


私は一瞬、恐怖にも似た感情を覚えた。

それには気づかずに、郁は私に笑顔で、話しかけてくる。

「ねえねえ。気に入った衣装とかあると、その場で買ったりするの?」

「ううん。私、そんなお金ないし。」

「でも、いくらか安く買えるんでしょう?」

そんな事は、全く聞いた事がなかった。

でもこんなに楽しそうに聞いてくる郁を、裏切る事はできない、それに自分の中でも、優越感に浸りたかったのかもしれない。
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