天使の階段
撮影の日。

何気なく渡された衣装に、着替えている途中だった。

「あれ?」

腰のファスナーが、上がらない。

今まで衣装が入らなかった事なんて、なかったのに。


私はカーテンを、少しだけ開ける。

「木下さん。」

「ん?」

顔だけ出した状態の私に、事態を察してくれたのか、木下さんはすぐに来てくれた。

「入らない?」

「はい。」

「衣装、貸してみて。」

私は衣装脱いで、それを木下さんに渡した。

「おかしいな。サイズはいつもと一緒だよな。」

木下さんは、衣装を広げて見た。

「ああ!これ、ちょっと細めにできてるからかな。」

「……細め?」

「待ってて。ワンサイズ上の服、持ってくるから。」

木下さんはそう言って、下着姿の私を置いて、どこかへ行ってしまった。
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