天使の階段
「バストは現状維持だ。」

私は目尻を指で上げ、拓未さんの真似をした。

「きゃははは!誰、それ!」

休日の昼下がり。

側にいる郁は、雑誌を見ながら笑っている。

「現場仕切ってる、拓未さんって人。人が着替えている途中だって言うのに、平気で中に入ってくるんだよ!信じられる?」

あの時の驚きと怒りは、今思い出しても、腹が立ってくる。

「でもさ、モデルってショーの時なんか、下着一枚で歩きまわってるって話じゃん。」

「ウソ~!!」

「体に自信があるのかな?」

郁は胸を張って、胸の大きさをアピールしている。

「で?寧々はさっきから、後ろを向きながら何してるの?」

「ただ後ろを向いてるだけじゃないの!左右に体をひねる事で、くびれを作ってんの!」

「へえ~くびれね。」

「ウエストだけサイズダウンなんて、あいつ鬼だ!!」

そう叫ぶと、不思議とやる気が出る。
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