天使の階段
激しく鳴るシャッターの音。

眩しいくらいのストロボ。

いつしか私もそれに慣れ、当たり前と感じるようになっていた。


「桜井。」

「はい。」

撮影が終わった後、拓未さんに呼ばれた。

「今日の君は、今までの中で一番いいな。」

「ホントですか?」

「いい事でもあったのか?」

「何もないですよ。」

いい事なんて、本当に何もないけど、強いて言えば、今、拓未さんに褒められたことかな。

「ところで、急に話は変わるんだが。」

「はい。」

「今度20代前半をターゲットにした、新しい雑誌が創刊されるんだ。」

「そうなんですか?」

「そこでだ。」

拓未さんは、私をじっと見た。

「その雑誌の、専属のモデルになってみないか?」

「わ、私がですか?」

専属のモデル?

それってプロのモデルって事?

「読者モデルは、基本的にボランティアみたいなものだ。礼金が出たとしても、小遣いに足代が付いた程度だろ?」
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