天使の階段
『ううん。モデルは痩せてる方が売れるもん。私、頑張る。』

そんな時、電話越しに聞こえてくる シャリシャリという音。

「郁、何か食べてる?」

『うん。りんご。今日のご飯。』

「ご飯?デザートじゃなくて?」

『りんごダイエット。夕食はこれで終わり。』

終わりって……

時計を見ると、まだ5時半だった。


「無理しないでよ、郁。」

『大丈夫だって。』

私はやけに、その”シャリシャリ”という音が気になった。

「ねえ、郁。無理してない?」

『してないよ。これだけで、十分お腹いっぱいになるし。』

お腹がいっぱいになると言うより、体の方が心配になった。

「郁。ただ痩せればいいってもんじゃないよ。」

郁はしばらく、黙ってしまった。

「郁?」

『どういう意味、それ?』

郁は少し、不機嫌になっていた。

「栄養も考えなきゃ。ただ痩せる為なんて、体に悪いよ。」

『寧々に、私の気持ちなんて、分からないよ。』

そう言って、電話は途切れた。
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