天使の階段
嫌な予感は的中した。

日曜日に遊びに来た郁は、ガリガリに痩せていた。

「郁……」

「すごいでしょ。2週間でまた2キロ落ちたよ。」

「痩せすぎだよ!!」

掴んだ郁の肩は、親指と人差し指にすっぽりはまるくらいに、肉が落ちていた。

「そんなことないよ。鎖骨だって見えるようになったし。」

シャツの襟元から覗いた鎖骨は、はっきりしているけれど、それは返って骨を強調しているように見えた。

「郁、もうダイエットはやめなよ。」

「どうして?」

「十分痩せたよ、郁は。」

「まだまだって。ウエストなんか、あと5cmは減らさないと。」

「郁!!」

私の大声に、郁は目をパチクリさせている。

私は、自分の気持ちを落ち着かせる為に、大きく深呼吸をした。

「郁……モデルが痩せてなきゃいけないのは、あらゆる服に対応しなきゃいけないからだよ。」

不安を吐きだすように、私は叫んだ。
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