天使の階段
郁のお葬式は、雨の中で行われた。

『どうして突然?』

『持病とかなかったんでしょう?』

近所の人も郁の死を、不審に思っていた。


「寧々ちゃん。」

高校の時の同級生が、近づいてきた。

「突然だったね。」

「……うん。」

「朝、お母さんが起こしに行ったら、冷たくなってたんでしょう?」

私は顔を上げた。

「えっ?」

「……知らなかったの?原因、心不全だってよ?」

「心……不全?」

「ダイエットのしすぎだって。」

「そんな!そんなことってあるの!?」

私は思わず同級生に、掴みかかった。

「私……調理の勉強してるから、カロリーの事とか習うんだけど……」

それは、私を闇の底に落とす言葉だった。

「心臓や肺を動かすのにも必要なカロリーがあるんだよ。郁は生きて行くのに、必要なカロリーさえ摂っていなかったんじゃないかな。遺体を見たけど、腕も足も木の枝みたいだったし。」
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