天使の階段
急いで家に帰ると、ベッドの中に体を隠した。

私が殺した。

郁は、私が殺した。


私が衣装を郁にやらなければ。

私がダイエットの話をしなければ。

私がモデルなんかにならなければ。


郁は死ぬ事はなかった。


「郁はね……寧々ちゃんの事、本当に応援していたのよ?あの子みたいになりたいって……いつも言ってたわ。」

郁のお母さんの言葉が、頭の中を駆け巡る。

郁。

郁。

そのままの郁で十分よかったのに。


郁。

郁。

何度、郁の名前を呼んでも、郁はもう、戻って来ない。

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