天使の階段
次の日曜日、郁の代わりに私の部屋に来たのは、拓未さんだった。

「入るぞ。」

「えっ、ちょっ……待っ……」

拓未さんを、止める隙もなかった。

「今日は話し合いに来た。」

拓未さんは上着を脱ぐと、その場に座った。

「本当に辞める気なのか?この仕事。」

仕事って……

私はこれで、稼いでいるわけじゃない。

「理由があるなら、聞かせてくれないか?」

拓未さんは、私を真っ直ぐ見つめている。

「……他に、やりたい事が見つかったんです。」

思いっきりウソをついた。


「他にやりたい事か。」

拓未さんは鼻で笑うと、カバンの中から手紙を数枚出した。

「何ですか?それ。」

「桜井へのファンレターだよ。」

「ウソよ!」

「本当だ。中身を見てみればいい。」

「本当だったら、どうして封が開いてるんですか?」

どれもこれも、読まれた痕跡があった。
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