天使の階段
その時私を包んでくれる、暖かい腕があった。

「桜井。」

そして私の頬に、温かい滴が落ちた。

「彼女が死んだのは、桜井のせいじゃない。」


泣いている。

誰が泣いてるの?


「おまえの親友を殺したのは、この俺だ。」


腕を緩めて、私の頬に手を当てたその人は……

拓未さん?


「あの子は、平野郁は……桜井と一緒に、最終選考まで行ってたんだ。」

「郁が?」

「最終投票になった時、二人は同票だった。どちらが選ばれても、おかしくはなかったんだ。」

「そんな……」

「俺がおまえを選んだんだ!おまえを選んだ事で、彼女が死んだのなら……それは俺の責任だ!桜井のせいじゃない!!」

「拓未さん……」

「恨むなら、俺を恨め!それでおまえがもう一度、カメラの前に立てるなら、思う存分俺を憎めよ!」

そう言って、拓未さんの瞳からは、涙がまた零れた。
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