天使の階段
次の日、部活で柊子が話しかけてきた。

「どうだった?」

まるで普通のバイトの初日のようなノリだった。

「優しい人でしょ?タカさん。」

「うん…」


柊子はこんなバイト、何も感じずにやってるんだろうか。

「ねえ、柊子はこのバイト、どのくらいやってるの?」

「そうだな。まだ3ヶ月くらい。」

「その……聞きにくいんだけどさ……」

柊子は急に、立ち止まった。

「なに?」

いつもニコニコしている柊子が、無表情になっていた。

「ごめん……何でもない。」

どこまでやってるのかなんて、さすがにそんな事聞けない。

「それよりもどう?このバイト、やれそう?」

「……うん。」



思えばこの時、なんで。

うんって返事をしてしまったんだろう。


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