夜を照らす月影のように#10
ノワールside
僕が目を覚ますと、心配そうに僕を見る僕の幼なじみであるメルキュールと目が合う。
……えっと、何があったっけ。日本人で物の怪の冬樹さんが助っ人に来てくれて、何とか動きを封じることが出来て、それから……それから?
僕が体を起こすと、見覚えのある景色が目に入る。魔法警察がオズワルドさんをどこかへと転送していて、リオンは魔法警察の1人から事情聴取を受けていた。
……帰って来れたんだ。この世界に……。
「……ノワールさん!」
ぼうっとこの状況を眺めてると声をかけられて、僕は声がした方を見る。
そこにいたのは、冬樹さんと父さん。
「良かった、目が覚めたんですね」
「いやぁ、それにしても驚いたな。異世界からの人間でしかも物の怪だなんて。しかも、ちゃんと自我もある。素晴らしい」
「自我がなかったのは、オズワルドさんの術のせいですよ」
父さんの言葉に、僕は苦笑した。
「冬樹くんと言ったっけ。もし良かったら、俺の家で暮らさないか?色々と調べさせて欲しい……」
「あーあ……父さんの研究者スイッチが入っちゃった……」
事情聴取が終わったらしいリオンが、僕の近くで苦笑する。
周りには、皆がいた。
「……皆、ありがとう。皆のおかげで、この事件を解決することが出来た」
魔法警察の言葉に、すべてが終わったのだと確信する。
皆で顔を見合せて、僕らは笑い合った。