『人妻の過去』
涙が風で横に流れる…


冷たくなった鼻が、じんじん痛む…


哲平なら…


きっと喜んでくれた。


『ありがとう』って抱きしめてくれた。




…でも




仁君を選んだのは、アタシだから。


泣いたって、アタシは…


『幸せ』なんだ。





家に着いて、仁君に電話をしようと思ったけど…


もし電話に出てくれなかったら、


アタシはまた泣きながら、眠れない夜を過ごさなきゃいけない。


だから、


メールで『ただいま』…と入れた。


いくら待っても、返事は来なくて…。


だけど、核心に触れる勇気もなくて


アタシは結局,


泣きながら、眠れない夜を過ごした。





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