大好きなお姉さまが悪役令嬢?!処刑回避のためにひきこもったら、隣国の王子に狙われているようです?
「では、早速準備にとりかからなくてはね。明後日には来られるそうだから」
「シング公爵は、今は本邸のほうにいらっしゃるのですか?」
「そのようね。だけど、今回の訪問はお忍びのようよ」
 しっと唇の前に人差し指を立てるエレノアの姿は、普段より幼く見えた。
 エレノアが急いで使用人たちを集め、明後日に公爵が客人を連れてやってくる旨を伝える。
「あ、モリスに伝えないと」
 セシリアが声をあげる。
 モリスは、あれこれと騒ぐ人間が嫌いらしい。
 最近では、どこからか聞きつけたのかエレノア目当てに領主館にやって来る者もいる。それはフェルトンの街の人間ではなく、それ以外の者。むしろケアード公爵領以外の人間。そんな騒がしい人がやってくると、モリスが魔法を使って追い払っていた。
 今のところ、エレノアに求婚しようという心臓に毛の生えたような図々しい男性はいない。そうなる前に、モリスによって追い払われている。そしてエレノアは、そういった人物が領主館に来ていることすら気づいていない。
 王太子ジェラルドから婚約解消をつきつけられたエレノアだというのに、今となってはその事実がなかったかのように、彼女の周囲には人が集まり始めている。だからこそ、変な男は寄せ付けないようにと、モリスをはじめ使用人やら護衛の者が目を光らせている。
 さらに商会長、その組合員たちもエレノアを女神のように崇拝しているため、それとなく見張っていた。
 こうやってエレノアはみんなから守られているのだ。
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