大好きなお姉さまが悪役令嬢?!処刑回避のためにひきこもったら、隣国の王子に狙われているようです?
 執事が椅子を引きエレノアは自然と座るものの、口だけはしっかりと動いている。
「昨日は慣れない場で疲れたのだろう。今日はゆっくりと休んでいなさい」
 父親のその声が合図になったかのように、食事が運ばれてきた。
 セシリアがぐっすりと眠りこけてしまったのは、わけのわからない記憶のせいだ。
 夢だと思っていた。いや、あれは間違いなく夢だった。ただ夢から覚めても、内容はばっちりと覚えている。
 横目でチラリとエレノアを確認すると、目が合った。
「セシリア、こちらのジャムも美味しいわよ」
 エレノアがオレンジ色のジャムを手渡した。
 婚約破棄を突きつけられて落ち込んでいると思われたエレノアだが、そうでもなかった。いや、落ち込んでいるのかもしれない。それを家族に悟られないようにと気丈に振る舞っているのだろう。
 なによりも、夢の中の彼女は間違いなくジェラルドが好きだった。むしろ執着とも呼べるような感情だった。そのいきすぎた歪んだ愛の先に待っているのが処刑である。
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