大好きなお姉さまが悪役令嬢?!処刑回避のためにひきこもったら、隣国の王子に狙われているようです?
 エレノアですら手を焼いていたマイクを、コンスタッドは一言で手なずけた。そんな彼に、エレノアは感情の読めない視線を向ける。
「さすがですね、シング公爵。マイクは仕事はできるのですが、セシリアに対する態度に少々難があるのです」
「ふむ、彼を見ていればその理由はわかる。お互いのためにもライバルはいたほうがいいだろう? ただ、今の彼ではライバルにもなれない。だが、磨けば光る原石だ。私のところでみっちり鍛えれば、一年後にはその役割を担えるかもしれないね」
「あら? シング公爵は、フェルトンの将来を担う人材を引き抜きに来たのかしら?」
「優秀な人間、特に自分の利益になる者は誰だって欲するだろう? 私も聖人君子ではないし、欲もある。好いたものに対しては特に強欲だよ」
 そんな二人のやりとりを、マイクはぽかんと眺めている。
「では、マイク。きちんと大人の言うことを聞いて、勉強に励みなさい」
「は、はい! ありがとうございます」
 マイクが深く頭を下げると、キャシーも慌てて倣う。コンスタッドはひらひらと手を振って二人に別れを告げた。
 帰りの馬車は商会館の入り口まで来ていた。
 馬車に乗り込んだ瞬間、セシリアはエレノアを問い詰めた。
「お姉さま、ロックウェルに行くのですか? ここはどうするんですか?」
 あの場では誰かに聞かれるかもしれないと思い、ずっと我慢していた質問だった。
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