大好きなお姉さまが悪役令嬢?!処刑回避のためにひきこもったら、隣国の王子に狙われているようです?
 エレノアの言葉に、セシリアは少し考え込んだ。
「でも、シング公爵は、お姉さまのお兄さまになりたいとは思っていないと思います。セシリアの……お兄さまには、なるかも……? しれませんが? もしかして、ですけど?」
 セシリアの言葉に、エレノアは小さく笑った。彼女の前には、静かに紅茶が置かれ、湯気がゆらゆらと立ち上っている。
「シング公爵ね……」
 エレノアはそう呟き、窓の外に視線を移した。彼女がコンスタッドに対してどんな感情を抱いているのか、セシリアにははっきりとはわからない。ただ、セシリアの目には、二人がどこかお似合いに見えた。
 だが、コンスタッドのあの積極的な態度は、周囲の目を引くほど。彼がエレノアにぐいぐいと迫る姿は、確かに魅力的だが、得策とは言えないかもしれない。
「セシリア~! エレノア~! お腹空いた~」
 突然、モリスの元気な声がサロンに響いた。彼女はいつも「お腹が空いた」を合言葉に現れる。魔法を使うと異様に腹が減るんだよねと、モリス自身がよく口にしていた。
 モリスが席につくと、給仕が慣れた手つきで彼女の前にも紅茶とお菓子を並べた。砂糖菓子の甘い香りが、静かなサロンにふわりと広がる。
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