大好きなお姉さまが悪役令嬢?!処刑回避のためにひきこもったら、隣国の王子に狙われているようです?
 そこから国王は平謝りで『愚息が勝手にしでかしたこと』と慌てたようだが、ケアード公爵は婚約解消を見直すつもりはなかった。娘は深く傷ついているため、領地に戻る。だから、自分も外交大臣を辞めて一緒に領地についていくと。それを認めてもらえないのであれば、ケアード公爵の名にかけて娘の名誉を守るまで。
 つまりそれとなくケアード公爵家の騎士団の存在をにおわせ、アッシュクロフ王国から独立してやるぞ、と。言葉巧みに威圧したのである。
 そうなれば国王もたじたじだった――。
 と、この話をセシリアとエレノアに伝えたのは、母親だ。
「もう、あのときのお父様ったら、本当にすごかったのよ? 王城内に吹雪を呼び寄せるんじゃないかって、魔力がうねっていてね。私がそれをなんとか押さえ込んでいたけれども」
 ふふっと母親は可愛らしく笑ったが、その現場を想像したら可愛らしいものではないだろう。
 今にも魔力を暴走させそうな父親。それを涼しい顔で見守り、夫の魔力を押さえ込む母親。
「もしかして……その場で一番強いのは、お母さま……?」
 セシリアが言いかけたとき、エレノアには「しっ」と制された。
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