大好きなお姉さまが悪役令嬢?!処刑回避のためにひきこもったら、隣国の王子に狙われているようです?
「うわ~、風が気持ちいいですね」
 馬車から降りたセシリアは、青い空を見上げた。
「海が近いからね。やはり山を超えると、気候はぐっと異なるよ。そして、ここが領主館だ」
 父親の視線の先には、真っ白い四階建ての建物がある。正門を中心とした線対称な建物は、上にいくほど横幅が狭くなる台形の形をしている。まるでリゾートホテルのような外観だ。
 エントランスホールに入ると「お待ちしておりました」と使用人らが一斉に頭を下げる。幾人かの使用人には、先にこちらに来てもらっていた。
「では、早速お部屋に案内します」
 そう言って前に一歩出てきたのは、ケビンである。執事の息子の彼には、フェルトンで使用人らをまとめる使用人頭をお願いしたのだ。
「荷物は部屋に運んであります」
「ケビンも立派になったものね」
 エレノアが茶化す。年が近い二人は、こうやって軽口を叩くことも多い。
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