大好きなお姉さまが悪役令嬢?!処刑回避のためにひきこもったら、隣国の王子に狙われているようです?
(やはり貧しいからこんな苦いお茶を飲んでいるのね……いえ、違う。これはお茶ではない。渋みがないもの。渋くはないけど苦かったの。この味は……)
 流れ込んできた謎の記憶が、味覚によってさらに記憶を追い求めようとしている。
「どうぞ」
 皮を剥き終えた二本のさとうきびを、ケビンはボリスとケアード公爵に手渡した。
「食べられるが食べられない。この白い部分を噛んでみるといい」
 まるで手本を見せるかのように、父親が先にさとうきびを口に入れて噛み始めた。ボリスも恐る恐るさとうきびを口に入れ、奥歯で噛む。
「んっ……ん、ん!!」
 ボリスの顔は驚きと好奇心によって埋め尽くされる。
「甘い。なんですか、この草。甘い汁がたくさん出てくる」
「そうだ。このさとうきびから甘い汁をとって、甘味料を作ろうと思っている。それをこのフェルトンで行いたい」
 ボリスは、さとうきびをちゅうちゅうとしゃぶりつつ、尋ねる。
「甘味料ですか? それをこの街で?」
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