大好きなお姉さまが悪役令嬢?!処刑回避のためにひきこもったら、隣国の王子に狙われているようです?
「あの草にそのような名前があったのですね。最初は虫も湧くだろうから、刈り取ろうとは思ったのですが……なにぶん、大きな草でして。手がまわらず、そのままにしてしまいました。ただ、あそこにあってもなんの悪さもしない草でしたから、あれはもう、そういったものだと……この街の一部のようなものだと思って受け入れております」
 ボリスの言葉に頷いた父親は、ケビンを見やった。
「ケビン、頼む」
 公爵の言葉でナイフを取り出したケビンは、さとうきびの外皮を器用に剥き始める。皮を剥くシャリシャリ音だけが室内に響き、セシリアも変に緊張してしまう。
 その空気に耐えられず、お茶の入ったカップに手を伸ばす。
「にがっ」
 セシリアの声にエレノアが反応し、顔だけ向けると「しっ」と唇の前に人差し指を立てて制す。
 だって、お茶が苦かったんだもん。
 そう言い訳したかったが、「しっ」と言われてしまった以上、頬を膨らませて我慢することにした。
「やけどはしていない?」
 母親がこっそりと尋ねてきたため、セシリアは不貞腐れたままコクリと頷いた。
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