大好きなお姉さまが悪役令嬢?!処刑回避のためにひきこもったら、隣国の王子に狙われているようです?
 商会の会員との顔合わせは、これから会長が会員に話をしてから決めるとのこと。
 ケアード公爵夫妻は、一か月ほどフェルトンの街にいる予定であるため、できればその期間に商会の皆をこちら側に引き込みたいというのがエレノアの狙いでもある。
 商会館を出る頃には、太陽がだいぶ西側に傾き長い影を作っていた。
 街の様子を確認しながら、四人とケビンが馬車を停めた場所まで歩く。
「あっ……」
 露店をちらちらと見ながら歩いていたセシリアは、コーヒー豆を売っている店を見つけて声をあげた。
「お父さま。セシリア、あの苦いお茶が欲しいです」
「苦いお茶……? 先ほど、会長のところで飲んだあれか?」
「そうです、そうです。あれはお茶ではなくて、豆を煎って砕いてお湯を注いだものです。その豆があそこにあります」
 しかも生豆の状態だ。
 父親は、やれやれとでも言いたげに肩をすくめたが、娘には甘い。
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