大好きなお姉さまが悪役令嬢?!処刑回避のためにひきこもったら、隣国の王子に狙われているようです?
「白と黒の違いはなにかしら? わたくしにとっては、この黒い砂糖だけでもじゅうぶんだと思うの。いずれは、セシリアが言うような白い砂糖があればいいとは思うけれど、まずは簡単なところから始めたほうがいいのではないかしら。それに、今は砂糖を作るだけの道具がないのよ」
「うぅ……そうですね……」
 エレノアにそう言われてしまえば、セシリアは何も言えない。
 ただ、セシリアの中では、砂糖は白いものという気持ちがあった。それに白い砂糖のほうが使い道はたくさんある。
「エレノアの言うとおりだな」
 いつの間にか、厨房に父親の姿があった。
「何ごとも急いては事をし損じるだ。焦って、一度にやり遂げようとするのはよくない。私も、味見をしていいかな? 何やら美味しそうなにおいがしてきてね。そろそろ夕食の時間だというのに、このにおいの正体を知りたくなった」
「どうぞ。これが黒い砂糖だそうです」
 エレノアがケアード公爵に向かって鍋ごと差し出すと、彼はそこから黒い塊をひとつまみ取った。
「うん。甘い。それに、美味しいじゃないか。セシリア、美味しいよ?」
 父親は不貞腐れているセシリアの頭をなでた。
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