セカンドマリッジ ~病室で目覚めたら、夫と名乗るイケメン社長との激甘夫婦生活が始まりました~
「あなたの今の名前は、『水瀬』ではなく『清塚』」

 突拍子もないことを言われて言葉を失う。

 名字が変わる出来事など志歩には起こっていない。

 両親の仲はとてもいいから、彼らが離婚しているはずはない。それに俊也とは結婚秒読みだったとはいえ、あんなことがあったのだ。変わっているわけがない。

 そもそも清塚という名前に心当たりがなかった。

「……いや、清塚って……え?」
「病室でそばにいた男性がどなたかはわかりますか?」

 その問いで、そういえばやたらときれいな人がいたなと思い出す。しかし、彼のことを訊かれてもわからない。まったく見覚えがないのだ。

「いえ……わかりません」
「やはりその記憶が抜けているようですね」

 その言葉であの人が志歩に深く関わっている人なのだと察する。

 いったい誰だというのか。

 その答えはとても衝撃的なものだった。
< 10 / 173 >

この作品をシェア

pagetop