セカンドマリッジ ~病室で目覚めたら、夫と名乗るイケメン社長との激甘夫婦生活が始まりました~
「解離性健忘、いわゆる記憶喪失と呼ばれる状態です」
「記憶喪失? でも、階段から落ちたことは覚えています」
最悪の予想とは違って少しほっとするものの、事故の直前のことまでしっかりと覚えているのに、失った記憶があるとは思えない。
「そうですね。そういう記憶は確かにあなたの中にあるのでしょう。ですが、あなたが落ちたのはアパートの外階段ではなく、歩道橋だと聞いています。それにここに運び込まれたのは夕方ではなく、夜でした」
「え? でも、私は確かに……」
自分の記憶との食い違いにひどく混乱する。
俊也のアパートで階段から落ちたことは間違いない。さすがにあれは夢などではないはずだ。
それに歩道橋から落ちた記憶など志歩の中にはない。医師の言っていることがまったく理解できなかった。
「あなたがお話になったその記憶は、今回とは別のものでしょう。それから――」
医師はそこで一呼吸置き、志歩に言い聞かせるようにゆっくりと次の言葉を放つ。
「記憶喪失? でも、階段から落ちたことは覚えています」
最悪の予想とは違って少しほっとするものの、事故の直前のことまでしっかりと覚えているのに、失った記憶があるとは思えない。
「そうですね。そういう記憶は確かにあなたの中にあるのでしょう。ですが、あなたが落ちたのはアパートの外階段ではなく、歩道橋だと聞いています。それにここに運び込まれたのは夕方ではなく、夜でした」
「え? でも、私は確かに……」
自分の記憶との食い違いにひどく混乱する。
俊也のアパートで階段から落ちたことは間違いない。さすがにあれは夢などではないはずだ。
それに歩道橋から落ちた記憶など志歩の中にはない。医師の言っていることがまったく理解できなかった。
「あなたがお話になったその記憶は、今回とは別のものでしょう。それから――」
医師はそこで一呼吸置き、志歩に言い聞かせるようにゆっくりと次の言葉を放つ。