セカンドマリッジ ~病室で目覚めたら、夫と名乗るイケメン社長との激甘夫婦生活が始まりました~
「いいですか。落ち着いて聞いてください。彼はあなたのご主人です。あなたは彼とご結婚されて清塚姓に変わっていらっしゃる」
「へ……? 結婚!?」

 あり得ないことを言われて、思わず大きな声が出てしまった。

 長年付き合ってきた俊也とあんな展開になったばかりなのだ。志歩が結婚をしているわけがない。

 百歩譲って俊也と結婚していると言われるならまだしも、面識すらない人と結婚していると言われても俄には信じられない。

「今のあなたには結婚した記憶がないようですから、驚くのも無理はありません。ですが、あなたの名は確かに清塚です」
「嘘……」

 医師がここで嘘をつく理由などないのだから、それが本当のことであると頭ではわかっていたものの、志歩はその言葉以外口にできなかった。

「簡単には受け入れられないと思います。ですが、今後の生活のことを考えても、まずはどの程度記憶が抜けているのかを把握しておきましょう」
「……っ。はい」

 戸惑いが大きいもののしっかりと頷く。作業療法士としての自分がそうさせていた。

 前向きに治療に取り組めば、回復は圧倒的に速くなるし、日常生活への影響も小さくなる。

 記憶が戻るかは定かではないが、戻らないなら戻らないで、失った記憶をカバーできるようにしていかなければならない。

 そんなことを考え、志歩は強く意気込んだ。
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