セカンドマリッジ ~病室で目覚めたら、夫と名乗るイケメン社長との激甘夫婦生活が始まりました~
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 腕の中の志歩の存在に、悟の心は深く満たされる。

 志歩が悟へ向ける眼差しに甘い色が帯び始めていたことには気づいていたが、実際に想いを告げられると震えるほどの喜びを覚えた。

 それは狂喜と言えるほどのもので、もう志歩以外何も目に入らないくらい、彼女のことでいっぱいになっている。

 志歩を失いかけてから五ヶ月。やっと志歩の想いを手に入れられた。

「ようやく、ここまで」

 志歩の髪を優しく撫でながらつぶやく。

 まだまだ志歩の想いは淡いものだとわかってはいるが、それでもはっきりと恋心を自覚してくれたことが嬉しい。

 これからは堂々と悟も愛を囁ける。触れ方にはまだ気を遣うべきだろうが、言葉でならこの想いを余すことなく伝えても問題ないだろう。悟の愛に浸らせて、志歩を抜け出せなくさせなければならない。何があっても決して悟から離れていかないように。

 悟は志歩を起こさないよう、そっと髪を撫で続ける。本当に愛しくてたまらない。

 志歩にはいい夢が見られそうなどと言ったが、悟はきっと眠れないだろう。一晩中でもこの喜びを噛みしめ、こうして志歩の存在を感じていたい。

 悟の口から幸せのため息がこぼれる。飽きずにじっと志歩を見つめ続けるが、枕元から突然伝わってきた振動に邪魔をされてしまった。

 志歩を起こしてはかわいそうだと、悟は振動の正体をすぐに手に取る。手の中で未だ震えるスマホの画面には『八重沢(やえさわ)恵美理(えみり)』の文字が表示されている。

 まだ深夜ではないとはいえ、遅い時間帯に遠慮なくかけてくる相手にため息が漏れる。

 どうせいつもの戯言を聞かされるだけだと、悟はさっさと電話を切って、再び志歩に視線を戻した。

「もっともっと僕に溺れて。僕と同じところまで来て、志歩さん」

 あまりにも重すぎるこの愛を、寝ている志歩に囁く。まるで暗示をかけるかのように。

 どうか日が過ぎるごとに志歩の想いも深まりますようにと願いながら、悟は志歩の唇にそっと口づけた。
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