セカンドマリッジ ~病室で目覚めたら、夫と名乗るイケメン社長との激甘夫婦生活が始まりました~
 相手はかなり有名な企業グループの御曹司で、出世のために会長お気に入りの志歩と結婚したのだという。

 いったい一般人の志歩とその会長とやらがどうやって知り合ったのかと不思議に思ったが、リハビリを通してと言われれば納得がいった。志歩の献身的なサポートを受ければ、誰だって気に入るはずだ。

 しかし、御曹司の結婚相手に選ばれるとは余程気に入られたのだろう。志歩は出世のためという話は一切聞かされず、騙し討ちのように結婚する羽目になったらしい。

 しかも、清塚悟が必要なポストを手に入れた今、すでに用なしとなった志歩はこのまま飼い殺しにし、元婚約者とよりを戻そうとしているというから笑えない。

 俊也もほかの女になびきはしたが、志歩を縛りつけるようなことはしなかった。絶対に自分の方がマシだと思っている。

 それに、すべてを失った今、俊也は真剣に志歩とのことを考えている。もう一度彼女と一からやり直したい。そう思っている。

 だから、取り戻したい気持ちは大いにあるのだ。

 だが、下手に騒ぎを起こせば、またゴシップ記者に目をつけられかねない。結婚相手が有名な御曹司なら、なおのこと着目される可能性は高いだろう。

 志歩をあの野蛮な連中の餌食にするわけにはいかないから、どうしても慎重にならざるを得ない。気概だけでどうにかなる問題ではないのだ。

 そのあたりのことを何も理解していない目の前の女に、苛立ちが募る。眉を寄せながら強く睨みつけるが、女は少しも動じていない。

「怒りをぶつける相手を間違っているのよ。本当に役に立たないんだから。もういいわ。私が話す機会を作ってあげるから、絶対に志歩さんを説得しなさい。いいわね?」

 この女の言う通りにするのは面白くないが、打つ手がない以上は従うほかない。俊也は渋々頷く。

「はあ……わかったよ」

 その場で来週に実行すると約束し、俊也は今日も一人寂しく家へと帰って行った。
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