セカンドマリッジ ~病室で目覚めたら、夫と名乗るイケメン社長との激甘夫婦生活が始まりました~
『……はい』
『よかった。出てくれないかと思った』
『恵美理……何かな?』
『何って、わかっているでしょう? 私、やっぱり諦められないの。どうしても悟さんとやり直したい』

 またその話かと深いため息をこぼす。いったいこれで何度目だろうか。あのパーティーの日以来、恵美理はその話ばかりしてくる。

 幾度となく繰り返される恵美理からの要望に、悟は毎度同じ言葉しか返していないというのに、恵美理は未だに引き下がってくれない。

『その話はもう断ったはずだよ』
『もう一度考えてほしいの。私たちが一緒になるのは、清塚にとっても、八重沢にとっても悪いことではないでしょう?』
『それなら結婚という形でなくてもいい。ビジネスパートナーとしてやっていけば十分だ』
『あら、悟さんが先に言ったのよ? 私たちの結婚がそれぞれのグループの価値をさらに押し上げるって』

 いったい何年前の話を持ち出すつもりだろうか。確かに恵美理と婚約していた当時は、二人の結婚によって双方に大きなメリットがあると悟も思っていたし、両グループのトップも同じ意見だった。

 互いに業績が伸び悩んでいる部門を統合するにあたり、悟と恵美理の結婚が両グループの結びつきを強くしてくれると踏んでいたのだ。

 けれど、婚約解消からしばらくして、問題だった部門は統合を果たさずとも持ち直した。だから、二人の結婚にあの頃のようなメリットはない。もちろん少しのメリットもないかというとそうではないが、志歩と離婚してまで恵美理と再婚する意味はない。

 完全にタイミングを逸してしまったのだ。
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