セカンドマリッジ ~病室で目覚めたら、夫と名乗るイケメン社長との激甘夫婦生活が始まりました~
『悟さん。なかなか連絡できずにごめんなさい。直接会ってしまうと、まともに話をできる自信がないので、この手紙に私の気持ちを綴ろうと思います。
でも、きっと上手くは書けません。悟さんのことを考えると、たくさんの思いが溢れてまとまらないんです。だから、支離滅裂な文章になってしまうかもしれないけれど、どうか最後まで読んでくれると嬉しいです。
悟さん、出会ってからこれまでの間、ずっと私のことを大切にしてくれて、本当にありがとうございます。悟さんのおかげで失恋の痛みを乗り越えることができました。もう二度と恋なんてできないと思っていたのに、悟さんにはあっという間に惹かれてしまいました。本当はプロポーズをしてくれた頃には、もうあなたのことが好きだったんです。でも、両想いになるのが怖くて、私は逃げようとしていました。また裏切られたらと思うと、どうしても踏み込めなかった。でも、結婚という形で私の不安を拭ってくれたから、一歩前に踏み出すことができました。もう一度愛し合う幸せを教えてくれてありがとうございます。
記憶を失くしてからずっと寄り添っていてくれたことにも、本当に感謝しています。一人きりだったら、立ち直るのにもっと時間がかかっていたことと思います。二度もあなたに救われて、二度もあなたに恋をして、私は本当に幸せです。
だから、どうか私のことはもう気にかけないでください。十分すぎるほど幸せにしてもらいました。今度は悟さんが幸せになってください。
恵美理さんとの仲を引き裂くような形になってしまったこと、とても心苦しく思っています。恵美理さんとやり直したいと思っていることにもっと早く気づいていればよかった。でも、優しい悟さんが私にそんな話をできるわけがないとよくわかっています。だから、あのとき二人の話を聞いてしまったことは、幸いなことだったのだと思います。どうか恵美理さんと幸せになってください。
これからも悟さんの幸せを心から願っています。志歩』

 翌朝、出勤のために外へと出た志歩は、よく晴れ渡った空を見て笑みをこぼす。まるで今の志歩の心境を表しているかのように清々しいいい天気だ。

 まだ直接悟と向き合う自信はないが、自分の気持ちを文字に書き起こしたことで、随分と心の整理がついた。

 最後の話し合いはきっと笑顔でできるだろう。志歩はそう思いながら、昨夜綴った手紙をポストへと投函し、真っ直ぐ前を向いて歩き始めた。
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